瘋癲居士の追悼

「どくとるマンボウ」シリーズで知られる、作家の北社夫氏が昨夜、お亡くなりになりました。84歳でした。
それを知ったのはファンを自称していながら恥ずかしいことに、ラーメン屋の新聞でしたが。

歌人・斉藤茂吉の息子であり、精神科医でもあった氏の著作はユーモアと高い文学性、食物への愛と大ボラに満ちており、私を含む同年代の友人たちの中にも少なからぬ愛読者がいました。

特に医科・歯科の人間の中には、私達が生まれるよりもかなり前の作品にも関わらず「どくとるマンボウ」シリーズを読んだものが多く、氏の著作が我々の人生に及ぼした影響は小さくありません。

初めて氏の著作に触れたのは小学校高学年。ジェロニモ寺院のマリアに祈りを捧げ、ウイスキーを飲みつつマグロを食べてワサビがないと嘆き、海坊主にガス銃を奪われる「航海記」における氏の冒険に胸を躍らせ、「青春期」のカボチャを買出しに行ったりアマガエルを食べたりしながら徹夜で熱い議論を交わす学生時代に憧れたものです。最初の目的であった、読書感想文の題材にはとてもできない強烈なシロモノでした。

「青春期」に登場する、旧制松本高校の「ストーム」なる謎の儀式が遠く鹿児島大学で生き残っていた時の衝撃は忘れることはないでしょう。「航海記」の船上での苦し紛れの歯科治療のおかしさ(かなり誇張していると思われますが)はこの道に進んで、よく分かりました。
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酒好きの氏を偲び、ニッカウヰスキーを飲みながら、私と共に北海道から鹿児島、広島を経て再び北海道に戻ってきた、カバーも栞紐もとうに失われ、手垢と直射日光ですっかりぼろぼろになった「青春期」を読むこととします。

謹んで、お悔やみ申し上げます。

文責 鈴
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by owl-top | 2011-10-28 00:28
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